RBA(責任ある行動規範)への対応は人事労務担当にとっては重要

最近、人事の世界でもRBA(責任ある行動規範)の話を聞くようになっていませんか。

RBAは、もともとは、EICC(Electronic Industry Citizenship Coalition:電子業界CSRアライアンス)であったものが、2017年10月に改名、自動車業界やウェアラブルデバイス等を念頭に、スコープを拡⼤してきています。

2021年8月現在で世界の180社が参画、その中で日本企業が1割を占めています。当該企業が顧客である場合、取引先として種々対応を求められることになります。

RBAの主要ツールとして、行動規範、SAQ(自己診断アンケート)、VAP監査からなりますが、基本はまず行動規範になります。

Code of Conduct https://www.responsiblebusiness.org/code-of-conduct/
行動規範の現在のバージョンは7.0で、2021年1月1日に発効。基本的な英語ですが、参考として日本語もあります。

当内容を参照していただくと分かりますが、労働や倫理などが幅広く含まれ、いわゆる人事的分野が半分以上を占めているということになり、なかなかタフな内容になっています。

例えば、労働時間や賃金のところには以下のような記述があります。

3) 労働時間
ビジネス慣行に関する数々の研究によると、労働者の過労は生産性の低下、離職の増加、怪我および疾病の増加と明確なつながりがあるとされる。労働時間は現地法で定められている限度を超えてはならない。さらに、週間労働時間は、緊急時や非常時を除き、時間外労働を含めて60時間を超えてはならない。すべての時間外労働は自発的なものでなければならない。労働者は7日間に1日以上の休暇の取得が認められなければならない。

4) 賃金および福利厚生
労働者に支払われる報酬は、最低賃金、時間外労働および法的に義務付けられている福利厚生に関連する法律を含め、適用される賃金に関するすべての法律を遵守しなければならない。現地法を遵守し、労働者には時間外労働に対して通常の時給より高い賃率で支払われなければならない。懲戒処分としての賃金の控除は認められない。労働者が各支払期間に実施した業務に対する正確な報酬を確認するために十分な情報が記載された、わかりやすい給与明細書が適切な時期に労働者に提供されなければならない。臨時、派遣および外部委託の労働者の使用はすべて現地法の制限内とする。

(RBA行動規範7.0より)

労働時間は週60時間労働まで、7日連続勤務の禁止というのも、日本的感覚とは少し異なります。

また、多くの企業が戸惑うのが、「減給」規定が禁止されているというものです。「仕事をしているのにお金がもらえないのは許されるべきではない」という理屈です。確かに、「出勤停止」はお金はもらえませんが、そもそも仕事をしていないのでそれはそれで問題がないわけです。「減給」規定は 、多くの日本企業では設けられていると思いますが、世界標準では普通ではないということなのです。

これを元に、膨大な量のSAQ(自己診断アンケート)提出が求められます。SAQは約500問(人事労務関連部分だけではなくすべての質問数:ただし、人事労務関連が非常に多い)あり、これに答えていくだけでも心が折れそうになってしまいます。
その上、必要に応じてVAP監査が実施されます。ここで指摘を受けてしまうと、継続的改善が求められ、時間も多く取られがちです。例えば、上記で減給の規定の部分が指摘されると、減給規定をなくすなどの対応を求められることになります。今までであれば考えられませんね。

多くの企業がRBAに入ってきている中で、Appleは早くから力を入れてきています。このレベルの企業と取引をするには、多くの壁を乗り越えなければならないということになります。
Apple サプライヤー責任 https://www.apple.com/jp/supplier-responsibility/