「コンプライアンス」は「法令遵守」だけではない

「コンプライアンス(compliance)」は、⼀般には、「法令遵守」と訳されています。「法令」とは、法律や政令・省令など、国による法規範の総称のことを指します。社会人として、これらの規範を守っていくすることは当然のことです。さらに、組織に属している以上、当該組織のルールにも従う必要があります。

現在では、「コンプライアンス」は、さらに広くとらえられています。complianceの語源である「comply」を紐解いてみると、「充足する」「調和する」という意味があります。「コンプライアンス」はより広くとらえて「社会的要請に応える」と理解もできます。

これをさらに広くした概念が、CSR(Corporate SocialResponsibility:企業の社会的責任)といわれるものです。2010年には、企業にだけではなく、すべての組織体が社会的責任を果たすべきとの理念から、SR(Social Responsibility)として国際基準化(ISO26000)されています。なお、このISO26000は、ガイドライン的役割であり、認証制度はありません。

企業(法⼈)活動活動には、社員、顧客、取引先、協力会社、株主など様々な「ステークホルダー(利害関係者)」が存在します。これらのステークホルダーの要望に応えるということについては、「利益の追求」もうそうですが、第一義的は、「組織を永続させること」でしょう。利益も、健全な企業活動を通じて生み出されたものでなければ、組織の永続は望めません。そうなると、収益追求のためには何をやっても良いというわけではなく、法令を遵守するとともに、高い倫理観を保持しながら責任ある企業活動をする必要があります。

コンプライアンスを単に「ルールを守ればよい」というふうに捉えるのではなく、役員、社員一人一人が当法人の運営を通じて社会的責任を果たしていくのだという自覚を持つことが重要となります。

もう少し別の見方をすると、コンプライアンスは、ハードロー(法令遵守)にとどまらず、ソフトロー(業界慣行、社会的要請、企業倫理・経営倫理に基づく組織的取組(事前予防、事後対応))となってきます。単純に法令遵守をするだけではなく、原理原則から対応する必要が出てきます。

具体的なコンプライアンスの指標としては、企業活動が、社会にどのような貢献を、どのようにしているかの指標、株主や消費者の利益をどれだけ⼤切に考えているの指標、企業の社会的責任から必要とされる健全性・適正・公正さの指標であり、それらを確保するための取り組みが、コンプライアンス活動ということになります。

現在は、不祥事リスクが非常に高まっている状態といえます。炎上必⾄の現代ネット環境・技術基盤、事業活動はデジタルに記録され、写真も録⾳もいつでも簡単にできる時代であり、不祥事が明るみに出やすい社会環境になっています。原理原則からの対応がますます重要になってくるのでしょう。